イベントレポート

【富山県富山市】しっとり宵闇の雰囲気を味わう、哀愁の「おわら風の盆」

2018年9月に開催されたおわら風の盆のレポート(体験談)をお届けします。

富山県富山市について

富山県の中心に位置する富山市。2016年には北陸新幹線も開業し、関東圏からのアクセスも良好になりました。天気の良い日には、市内から立山の山並みが一望できます。特に冬に冠雪した立山の迫力は圧倒的で、雄大な自然風景が美しく残る地域です。

一方で、フォトジェニックな建築で人気の「TOYAMAキラリ」や、2017年にオープンするやいなや、県内外の注目を浴び続けている「富山県立美術館」、「世界一美しいスタバ」がある「環水公園」など、近代的で新しいスポットも目白押しです。

おわら風の盆について

■名称:おわら風の盆
■場所:富山県富山市八尾
■開催日:毎年9月1日~3日(前夜祭は8月20日~30日の11日間)
■最寄り:JR高山線 越中八尾駅から徒歩約5~20分(本祭期間中は臨時列車あり)
■駐車場:あり(有料)

本祭と前夜祭

「おわら風の盆」には毎年9月1日~3日に行われる本祭と、8月20日~30日に行われる前夜祭があります。

前夜祭では、八尾の11町が1日1町ずつ持ち回りで、町流しや輪踊りを披露してくれます。時間帯としては、本祭は日中~深夜まで、前夜祭は20時~22時頃となります。

本祭は観光客が多く、エリアによっては身動きが取れないほど混雑します。前夜祭は、日によって混雑の度合いは違うものの、比較的ゆったりと楽しむことができますよ。

前夜祭期間と本祭当日では、駐車場の場所も違います。

前夜祭期間は、会場まで徒歩約10~20分ほどのところに駐車場がありますが、本祭当日は、シャトルバスで会場へ向かう離れた場所にしか駐車場がありません。

駐車場の料金やシャトルバスの料金も設定されていますので、ホームページなどの案内をしっかりチェックしてから会場へ向かうことをおすすめします。

祭りの見どころ

坂の町・八尾の美しい街並み

「おわら風の盆」の舞台となる八尾の町は、山の斜面に石を積んで作られたといわれています。

坂道や階段、石畳の道など古くから残る細い道が多い地域です。坂を上って町中に入ると、町屋作りの白壁や格子戸など、古き良き景観が残っています。

【諏訪町通り】は「日本の道100選」にも選出されており、日本の文化を現代に伝える貴重なエリアでもあります。

しっとりと、情緒あふれる踊り

「おわら風の盆」の踊りは、胡弓の音色に合わせて、歌い手がひとりずつ交代で歌い上げる【越中おわら節】という民謡で踊られます。

踊り手はその町の男女で、25歳以下の未婚であるという制限も。男女とも、踊りにのぞむときは編み笠をかぶります。深くかぶった編み笠からは、口元しかうかがうことができません。表情が見えず、無言で粛々とした踊り。しかし淡々としているのではなく、感情豊かで情緒たっぷりなのです。

ゆったりとして切ないおわら節の音色と踊りの中に、力強さや艶っぽさを感じることができますよ。

町ごとに受け継がれる格式と伝統

八尾には、11の町(支部)があり、町ごとに伝統的に受け継がれている踊りがあります。

それぞれの町に特徴があり、その違いを楽しみに毎年通っているファンも多いとか。今回はその11の町のうち、前夜祭と本祭で私が今年じっくり見ることができた、3つの支部をご紹介します。

①諏訪町

諏訪町は、11町の中でも特に人気があり、本祭はもちろん前夜祭でも観光客で埋め尽くされるほどです。

踊りに対してとても厳粛で洗練されている雰囲気があり、伝統と誇りを感じることができます。踊り手の人数も多く、びしっと指先が揃う瞬間は、鳥肌が立つほど美しいですよ。

②鏡町

鏡町は、【混合踊り】と呼ばれる男女ペアの踊りが特徴です。男女ペアになったときの振りの見せ場が決まると、周りのギャラリーからは感嘆の声と拍手が上がります。

また、踊りは【おたや階段】の下で行われ、階段に座って鑑賞することもおわら名物のひとつです。(写真はおたや階段の上から見たもの)

③下新町

下新町は、八幡神社での舞台踊りが人気です。燈籠に照らされた夜の神社に、女性の赤い着物が美しく映えます。

町ごとに着物の色や柄にも特徴があり、各町の雰囲気に合った着物を楽しみにしているおわらファンの人もたくさんいるみたいですよ。

踊りだけじゃない。地方(じかた)の演奏にも注目

おらわ節を奏でるのは、【地方(じかた)】と呼ばれる胡弓と三味線の奏者と歌い手たち。【地方】は、踊り手を卒業した町の人たちが担当することが多いようです。

同じおわら節でも、町によってテンポや節回しに特徴があり、いろいろな町の踊りを見ることでその違いを楽しむこともできます。

中には、胡弓の名人や名物の歌い手といわれる人もいるようで、【地方】の演奏を目当てに聴きに来る観光客も少なくありません。

夜明けまで続く町流し

本祭期間中は、スケジュールで決められた町流しや輪踊りが全て終わったあとも、朝までお祭りが続きます。踊り手や歌い手を卒業したOB・OGが、年齢や場所の縛りなく自由に自分たちのおわら踊りを楽しむ時間となるのです。

本祭期間中、深夜の八尾を歩くと、どこからともなく三味線の音色や歌が聞こえてきて、その雰囲気がまた格別に素晴らしいです。

観光客に見せるためではなく、自分たちが楽しむために歌い踊る深夜の町流し。おわらの情緒に酔いしれるには、深夜の時間帯が真骨頂かもしれません。

まとめ

「おわら風の盆」は、小さな町でこの地に暮らす人々の生活に根付き、代々受け継がれている、風情ある静かなお祭りです。

近年、観光客の増加によるマナーの悪化が問題になっています。踊りの鑑賞はもちろん、駐車や撮影のマナーを守り、町の人々とお客さんが一体となって、これからも大切に見守り続けていけたらと願います。

人の心の深い部分を強く揺さぶる、静かながらも熱く情緒深いおわら風の盆。ぜひ一度、八尾の町を訪れてみてくださいね。

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yuki
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石川県在住、写真好きのwebライター。